生後3ヶ月の神聖な儀式オトナン、沐浴で浄化される赤ちゃん -1949年-
普通の赤ちゃんも、いわゆる、‘ムレッ(Melik)’と呼ばれる子供も、それぞれの赤ちゃんが生まれた印を持って生まれてくると言われる。‘ムレッ(Melik)’とは、生まれる時に、ヒンドゥー教の唯一神、イダ・サンヒャン・ウィディ・ワサから与えられる偉大な恵みの一つである。
‘プルワ・ガマ’という名の聖典の中には、ムレッを与えられて生まれてきた子供は、生まれた時から普通の人間にはない、死を引き起こす可能性のある特別な霊力を与えられて生まれてきていて、危険を伴うその力を中和させる為に、‘プバユハン’という誕生日の儀式をし、自身を常に清める事を忘れず、浄化された状態を保する必要があるのだ。
このムレッを与えられて生まれた子供かどうかを見分けるには、生まれた子供の、この世で担うべき役割によって違う9種類の武器(神々が持つ武器)の印が、通常は手相・額・体の一部分に現れる。それらは、バジュラ、ガダ、ナガパサ、チャクラ、ドゥパ、アンクス、トゥリスラ、モクサラ、火と風だ。
実際これらの武器の印を見たいと思っても、普通の人間の目には見ることが出来ない。スリンギーやバリアンと呼ばれる人々にしか読み取れない。ムレッを与えられた人には、人間を超越した特別な力がある。彼らは目に見えない霊に好かれるが、それは邪悪な種類のものから神聖な存在から様々である。
ムレッの印は、体に現れる。例えば、①生まれた時、へその緒が何重かに巻かれていた胎児。このように生まれる子は珍しく、母親に生み出される以前に何度も死んでいる ②およそ2歳ぐらいに成長した時に、髪の毛がくちゃくちゃに固まる。剃っても、また同じように毛が固まってしまう ③つむじが3つ、又は、それ以上ある ④舌の色に黒、又は、茶色い部分と普通の白い部分が混じって斑になっている ⑤性器に大き目のほくろがある ・・・以上がムレッの印でもある。自身がムレッであるかどうかは、早く知れば知るほど良いとされ、ムレッの霊力による不測の危険な事態を免れるように儀式をする。
バリの歴史の中には、驚くようなムレッの出生があった。それは、1599年に生まれた赤ちゃんで、正式な夫婦ではない男女の間に生まれた。生まれた時、この赤ちゃんの全身は、血のような赤色で、夜になると頭のてっぺんから青い光を放った。それで、この子は‘キ・バラック・パンジ’と名付けられた。成長したパンジは、不思議な霊力を発揮し、イ・グスティ・アンルラー・パンジ・サクティーという称号を得たブレレン王となったのだ。
あなたの周辺に、ムレッを与えられて生まれた子供がいるだろうか?
via Sejarah Bali
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